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中島 宏
JAEA-Conf 2020-001, p.69 - 74, 2020/12
J-PARC(日本陽子加速器研究施設)は、世界最高のビーム出力の高エネルギー陽子加速器施設である。非常に高いビーム出力と高エネルギー及び大規模な加速器複合体であることから、放射線の安全設計に関するいくつかの非常に困難な問題があった。これらを克服するために、かつて、様々な対策が行われた。この論文ではこれらについて紹介する。また、完成後10年の間における研究開発により、新たな様々な知見も得ており、これらについても述べている。
真辺 健太郎; 佐藤 薫; 高橋 史明
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(5), p.385 - 393, 2019/05
被引用回数:3 パーセンタイル:31.89(Nuclear Science & Technology)高エネルギー加速器施設では、高エネルギー粒子と施設構造物、施設内の空気等との核反応によって様々な放射性核種が生成され、施設作業者に対する潜在的な内部被ばく源となる。しかしながら、国際放射線防護委員会(ICRP)が公開しているICRP 2007年勧告に従う線量係数(放射性核種1Bq摂取当たりの預託実効線量)の中には、半減期が10分未満の短半減期核種は含まれていない。そこで、本研究では対応する元素の体内動態モデル等に基づき、このような短半減期核種の吸入摂取及び経口摂取に対するICRP 2007年勧告に従う線量係数を評価した。その結果をICRP 1990年勧告に従う線量係数と比較したところ、吸入摂取では線量係数が減少し、経口摂取では増加する傾向が見られた。こうした線量係数の変化は、線量計算手順の変更や消化管モデルの改訂等が原因であることが明らかになった。この結果は、高エネルギー加速器施設におけるICRP 2007年勧告に対応した放射線防護計画の立案に有用なものとなる。
武井 早憲; 古川 和朗*; 矢野 喜治*; 小川 雄二郎*
Journal of Nuclear Science and Technology, 55(9), p.996 - 1008, 2018/09
被引用回数:2 パーセンタイル:20.93(Nuclear Science & Technology)加速器駆動核変換システム(ADS)では、ビームトリップ事象が少ない、信頼性の高い加速器を開発しなければならないが、ビームトリップ事象がどの位の間隔で生じているか統一した手法で評価されていない。本研究では、統一した評価手法を得ることを目的として、高エネルギー加速器研究機構入射用加速器のクライストロン系の運転データを用いてクライストロン系が偶発的にトリップする平均時間間隔(MTBI)を信頼性工学に基づく手法で評価し、従来の結果と比較した。従来、クライストロン系のMTBIを評価する手法は少なくとも3種類あり、評価したMTBIは30.9時間, 32.0時間、そして50.4時間となった。一方、本研究では信頼性工学では一般的なノンパラメトリックな評価手法を用いてMTBIを評価したところ、57.3時間となり、従来の評価値と比較して1.14倍以上も長い時間となった。今後、本研究で述べた信頼性工学に基づく手法でビームトリップの平均時間間隔を評価することが望ましい。
津田 修一; 山口 恭弘
保健物理, 36(1), p.51 - 60, 2001/03
近年、高エネルギー加速器は、基礎科学研究、原子力開発等に利用される高エネルギー放射線源として注目されている。これらの加速器施設における遮へい設計,放射線管理等において、線量換算係数を用いた高エネルギー放射線に対する線量評価は極めて重要である。いくつかのグループは、ICRP74に含まれていない放射線や、より高いエネルギーの放射線に対する線量換算係数を計算している。本報告では、10MeV以上の種々の放射線に対する実効線量,実効線量当量,及び国際放射線単位測定委員会が推奨している計測実用量に関する線量換算係数の現状を整理し、問題点をまとめた。
遠藤 章; 原田 康典
KURRI-KR-30, p.48 - 53, 1998/00
原研電子リニアック施設において、空気及びコンクリート遮蔽体中に生成される放射性核種の濃度、化学形等について調べた結果をまとめた。高エネルギー制動放射線の光核反応により空気中に生成されるC,N,Oの濃度、化学形を測定するとともに、化学反応シミュレーションモデルを開発し、実測データの解析を行った。その結果、核種の化学形に影響する因子、化学組成の時間変化等を明らかにした。また、コンクリート遮蔽体中の線放出核種濃度を測定し、制動放射線及び光中性子による生成核種の分布の特徴を明らかにした。以上の結果から、高エネルギー電子加速器施設における作業者等の被ばく防護、施設のデコミッショニングの観点で重要な知見を得た。
遠藤 章; 川崎 克也; 菊地 正光; 原田 康典
JAERI-Tech 97-027, 28 Pages, 1997/07
東海研究所の電子リニアック施設において、コンクリート遮蔽体中に残留する線放出核種の分布を調べた。ターゲット室、加速器室など7箇所のコンクリート遮蔽体からコアボーリングにより試料を採取し、これらについてNaI(Tl)検出器を用いた線計数率及びGe半導体検出器を用いた線スペクトルの測定を行った。加速器の運転に伴い生成された放射性核種として、熱中性子捕獲反応によるCo,Cs,Eu,Eu,制動放射線及び速中性子の核子放出反応によるNa,Mnが検出された。遮蔽体の深さ方向におけるこれらの核種の分布及び組成とコンクリート試料の採取位置との関係について検討した。
遠藤 章; 沖 雄一*; 三浦 太一*; 神田 征夫*; 近藤 健次郎*
日本原子力学会誌, 39(3), p.210 - 218, 1997/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)現在、各国において種々の大型加速器施設の建設計画が進められており、加速器を利用して得られる様々な放射線を用いた研究が、今後、益々盛んになることが予想される。大型加速器施設では、加速器の運転に伴い発生する高エネルギー放射線と、それにより生成される放射化物などに対する安全対策が重要になるが、原子炉施設とは異なる加速器施設特有の問題もある。本稿では、そのひとつである大強度高エネルギー加速器施設における放射化と、それに基づく内部被ばくの問題について、加速器施設の安全管理の経験から得られた知見を中心にして紹介する。
原子力コード研究委員会; 炉物理研究委員会
JAERI-M 91-015, 188 Pages, 1991/02
本報告書は、平成2年10月31日と11月1日に、日本原子力研究所東海研究所において開催された、第6回「原子力におけるソフトウェア開発」研究会での発表論文の内容を収録したものである。研究会は、原子力コード研究委員会と炉物理研究委員会の共催によって行われた。本研究会での発表論文は、(1)高エネルギー加速器のための放射線輸送コード、(2)次世代原子力システムの熱流動解析及び(3)高精度流動計算と計算機性能に関するものであった。
加藤 和明; 道家 忠義*
SJC-A-68-7, p.1 - 19, 1970/00
放射性気体による被曝の問題は,原子炉施設の安全評価の一問題として,これまでもいくつかの研究が発表されてきている。また最近になって大型加速施設におけるこの種の問題にも関心が集まってきている。